蓄電池設置に対する補助金制度

蓄電池設置に対する補助金制度

蓄電池設置に対する補助金制度

蓄電池の設置を行うと、その費用に対して補助金が国や地方公共団体から援助される制度が設けられています。
目的は、2011年に起きた東日本大震災による福島原発事故によって、電力不足が懸念されることから、発電力に余裕のある深夜電力などを利用して蓄電池に蓄えて、その電力を電力使用のピークを迎える日中に利用することで電力不足により発生するかも知れない大規模な停電を回避するためです。
日本の電力使用量がピークを迎えるのは、夏の7月から9月の平日で、13時から16時頃と言われています。逆に夜間は発電量に対して使用量が少ないので、この時間帯に発電をもっとたくさん行いその電力を蓄電池に蓄えて、昼間に使用することで節電や計画停電、あるいは最悪の事態の大規模な停電を阻止することができます。
そのために国は蓄電池の設置を促進するために補助金を出しています。

なぜ、電気の利用者側が蓄電するのか?

蓄電池の補助金とは関係ないですが、蓄電池に電気を蓄えることができるのなら、電気の利用者側が行うのではなくて、供給側の電力会社が深夜に発電した電力を巨大な蓄電池に蓄えれば良いのに、なぜ行わないのか疑問の人も多いと思います。
また、電力需要のピーク時にも不足しないように発電能力を引き上げれば良いのにと疑問に感じることもあるかもしれません。
これらを電力会社が行わないのは、何れもコスト的なデメリットが大きいからです。
蓄電池に蓄えることができる電気の量は、大容量でなければ、ある程度、コストを抑えて蓄えることができますが、電力会社が蓄電しなければならない何百万キロワットもの巨大な電気量は経済的にも、装置の大きさからも合理的ではないからです。
そのため、電気を蓄えて利用するよりも需要の一番大きい時にも電気が不足しないように発電設備を拡充して対応しています。
しかし、電力需要のピーク時に合わせた発電設備を用意すると、その設備はピーク時以外利用しないことになり、無駄が生じ、結果的に電気の使用料金が高くなり消費者が不利益を被ることになります。
そのため、採算が合う程度に発電設備を拡充しますが、常に需要をまかなえる発電量ができる設備は作らないため、予想を超える電力需要が見込まれると節電やピークシフト・ピークカット、計画停電が必要になります。

なぜ、発電量を使用量が上回ると大規模停電になるのか

なぜ、発電量を使用量が上回ると大規模停電になるのか

電力会社は、発電能力を上回る電気の使用量が予測されると、なぜ大規模な計画停電を行うのでしょうか? それは、計画停電を行わないと停電範囲が大規模になる可能性があるからです。
この理由は、1軒の家で考えれば分かります。一軒の家で利用できる電力量をわずかに超えただけで、ブレーカーが落ちます。すると、本来ならテレビ1台を見ないだけでブレーカーが落ちなかった程度の電気の使用量のオーバーであっても、家全体で電気が利用できない状態になります。
つまり、わずかテレビ1台の電力で、その家の全部の家電製品が利用できなくなるようなことが、電力会社の設備に発生するからです。
ブレーカーであれば入れ直すことで、すぐにまた電気が利用できるようになりますが、電力会社の設備では、そのように簡単にできないことが起こるので、大規模な停電が起きる前に小規模な範囲の計画停電で大きな被害を免れるために計画停電が行われます。
全体に大きく及ぶことを回避するために、それよりははるかに小さい一部の地域に計画停電が実施されるわけです。

蓄電池設置補助金の詳細内容

一律的な計画停電は、その地域で24時間365日電気が必要な病院などの施設やその他の事業所では大変困るため、利用者側での蓄電が必要となります。
そのため、蓄電池を購入しやすくする補助金制度が設けられたことは既に述べましたが、具体的に以下の内容です。
現状この制度は、期限が設けられており、継続されるかどうかは現時点では不明です。  

(1)国の補助金制度 

1−1 補助金額
・個人:購入機器の費用の3分の1、上限金額100万円
・法人:購入機器の費用の3分の1、上限金額1億円(蓄電能力10kWh未満の蓄電池)
    購入機器と工事費の一部の合計の3分の1、上限1億円(蓄電能力10kWh以上の蓄電池)

1−2 対象機器
・一般社団法人 環境共創イニシアチブ(SII)が指定する蓄電池
・補助金対象の蓄電池の特徴
 補助金対象蓄電池のほとんどには、「プログラム機能」が備わっています。
 プログラム機能とは、蓄電池の寿命が使用方法によって大幅に変わるため、蓄電池に負荷をかける「過充電・過放電」などをプログラムで自動的に制御して避ける機能です。この機能のある蓄電池は高価です。

1−3 対象
 日本国内で、SIIが指定する蓄電池を購入・設置する個人または法人、
 及び蓄電池を個人または法人に貸与する法人(リース事業者など)

1−4 申請期間
 平成26年3月31日まで
 ただし、補助金の予約申請期限は平成25年12月末日まで、交付申請期限は平成26年1月末日まで
 尚、補助金予算の210億円に達し次第、期限前でも終了の予定になっています。

1−5 詳細内容
 一般社団法人 環境共創イニシアチブ
 定置用リチウムイオン蓄電池導入促進対策事業費補助金のページ
 (http://sii.or.jp/lithium_ion/)

(2)地方公共団体の補助金制度

2−1 東京都の場合
 平成25年3月31日で終了
 しかし、電力事情の状況如何では、補助金制度が再開される可能性があります。
 終了した補助金制度は以下の通りです。
 
 ・補助対象要件
  国が実施する補助対象機器で、かつ都内に新規で設置する住宅用蓄電池
 (戸建・集合・個人・法人等を含む)
 ・補助金額
  定時出力1キロワットあたり10万円

2−2 その他の地方公共団体の場合
 ・平成24年9月30日で終了
 ・実施県
  神奈川県、千葉県、埼玉県、群馬県、栃木県、茨城県、山梨県、静岡県(富士川以東)、
  福島県、宮城県、岩手県、山形県、秋田県、青森県及び新潟県
 ・補助対象
  各県の中小企業
 ・補助金額
  蓄電池・工事費用の2分の1まで

補助金対象指定蓄電池が無条件に良い訳ではない

蓄電池を購入する場合、補助金支給対象になっている製品が、無条件にお買い得と一般的に考えがちですが、利用方法によっては無駄な機能の付いた高価な蓄電池を購入してしまい補助金が付いていても経済的なメリットが得られないことになる可能性があります。
それは、補助金対象機種に指定されている蓄電池が、原則「長寿命」でピークシフト機能が付いた高性能な充放電制御システムが搭載されていることから、太陽光発電と蓄電池を組み合わせて、もっとも経済的にプラスになる利用方法ができない仕様になっているからです。
一般家庭で購入できるような価格ではないので、検討することはあまり考えられませんが、企業は、もしかたら、間違った選択を行う可能性がゼロではありません。
太陽光発電と蓄電池でもっとも経済的にプラスになる利用方法は、昼間は太陽光発電で発電した電力を全て売電し、昼間に使う電気は、深夜電力で蓄電した電気を利用することです。
しかし、補助金対象の蓄電池では、この使い方ができないような仕様になっている製品が多くあります。