蓄電池に電気を蓄えることができるのは?

蓄電池に電気を蓄えることができるのは?

蓄電池は電気を化学エネルギーとして蓄える

蓄電池は電気を化学エネルギーとして蓄える

蓄電池は、電気を使って蓄電しますが、電気エネルギーをそのまま蓄電しているわけではありません。電気エネルギーを化学エネルギーに変換して蓄えています。
充電できない一次電池(乾電池)を使用すると、その中で電気化学反応が起きて電位差が発生し、電流が流れて蓄えられていた化学エネルギーが電気エネルギーに変換されて電気が利用できます。
この電気化学反応は、いつまでも続かないので寿命がきますが、この逆の反応を起こすことで蓄電できるようにしたのが充電式乾電池です。この仕組みは蓄電池の全てに共通です。
これによって、充電回数は無限ではありませんが、繰り返し充電が可能になり、その間、何度でも電気が利用できることになります。

なぜ電気エネルギーのまま蓄電しないのか?

なぜ電気エネルギーのまま蓄電しないのか?

なぜ電気エネルギーをわざわざ化学エネルギーに変換して蓄えるのかという疑問が湧くかも知れません。
変換すると必ず変換ロスが生じるので、電気のまま蓄えた方が、効率が良いように思えます。それなのに、なぜしないのかと言うとコスト的に採算が合わないからです。
そのため、電力会社は、ピーク時の電力需要を見込んで、それに近い発電能力のある設備を作り、ピーク時以外は蓄電が大量にできないため発電をストップして無駄な電気を発電しないようにしています。(但し、原子力発電は簡単に発電を止めることができない発電方法です。そのため火力発電や水力発電で調整が行われています。)
ピーク時に合わせて発電できるように設備を作ると、その設備はピーク時以外利用しないので不経済になりますが、大容量の蓄電池に蓄電するよりは、まだこの方が経済的合理性が高いために行われています。
電気を安く、たくさん蓄えることができるようになると、電力会社が夜間や電力需要が少ない季節、時間帯に発電して蓄電しておくことで、夏場などの極端に電力需要が大きい時に節電や計画停電を行なわなくても良くなります。
しかし、蓄電することは経済的に不合理なので電力会社は、利用者に節電やピークシフト・ピークカットを要請し、それでも無理な場合は計画停電を実施します。

コスト的に合わない蓄電池が普及する理由

では、このようにコスト的に見合わない蓄電池であれば、蓄電池の普及は進まないのではと思われますが、大容量の蓄電装置でない場合は、国が蓄電池を導入しやすいように補助金などをすることで、事業所、一般家庭用に普及が進み、台数が多く売れるので価格低下が進みます。
また、電気が国民生活の中で必須となっている現在、震災などの非常時や夏の電力使用量ピーク時でも電気を不自由なく使う必要性から、東日本大震災以降、蓄電池は注目され需要が伸びています。