蓄電池の失敗しない選び方

蓄電池の失敗しない選び方

蓄電池の失敗しない選び方

東日本大震災以降、電力事情が悪化し、特に真夏の電力需要期に節電を強いられたり、計画停電などの実施が行われたりすると、業務遂行に多大な影響を受ける病院、工場をはじめ、家庭や一般の事業所でもその対策の必要性が高まり蓄電池導入が増加しています。 また、太陽光発電などの再生可能エネルギーの利用も増加していますが、再生可能エネルギーを最大限有効利用するには必然的に蓄電池が必要となります。

選び方の検討手順

良く検討を行わないで蓄電池を購入してしまうと、無駄な投資となって、いざという時に十分役に立たない、満足に利用できないことになります。
そこで、失敗をしない蓄電池を選ぶにはどうしたら良いかを簡単に説明致します。

選び方の検討手順

・第一段階
まず、蓄電池の利用目的を明確化
例えば、長時間の計画停電にも対応できるようにするのか、短い停電や節電に協力するために蓄電池を活用するのか、太陽光発電などの再生可能エネルギーを最大限活用するのかなどの目的を明確にします。

・第二段階
目的が明確になれば、その目的を達成するための使用状況を明確化します。
どのような状況であれば、どの電気・電子機器をどれくらいの時間使う必要があるのかを検討します。
節電目的であれば、現在の使用電力量の何パーセントをカットするのかなどを明確にします。

・第三段階
必要電力量を計算します。使用しなければならない電気・電子機器とその使用時間を洗い出し、消費電力を計算します。
機器ごとにワット数×時間で電力量を計算します。これらは機器の取扱説明書、仕様書に書かれています。
消費電力の大きい機器や消費電力が小さくても多数あり、その合計が大きな消費電力になるようであれば、実際の消費電力を計測しておくと蓄電池を最終的に選ぶときに、選択する蓄電池の仕様に余裕があるのか、ないのかの判断をつけやすくなります。

一般的に、電気・電子機器は、始動時、待機時、稼働時で消費電力が大きく異なるので、厳密には、実際の計測はこの状態でそれぞれ行う必要があります。
この場合、全ての機器を一斉に起動させる必要があるのか、順次起動でも良いのかまで含めてグループ分けして計測しておきます。
また、機器ごとに常時電源は入れておく機器か、必要に応じて使用する機器か、又その使用はどの時間帯に多いのかなどを調べておきます。
これらは、蓄電池の仕様に余裕がないときに適切な判断の元となり、購入して使ったら実際には使えなかったという失敗をしないですむことになります。
一般的に、調べた結果の機器の合計消費電力量が必要な蓄電容量と思いがちですが、蓄電池は、消費電力(負荷)が大きくなるほど使用できる電力量が小さくなる、またはその逆の場合は大きくなるという特性を持っています。
例えば、1000ワットの消費電力の機器を5時間使用できる蓄電池は、2000ワットであれば2.5時間使用できると計算上はなりますが、実際は2.5時間を下回る時間しか利用できません。逆に500ワットであれば、10時間を超えて使用できます。

・第四段階
蓄電池の選択に重要なのは、消費電力に見合う蓄電容量ですが、蓄電池の出力に関しても大きなポイントがあります。
例えば、あらゆる家電製品がある家を想定します。各部屋にテレビ、エアコンがあり、キッチンは多種多様な調理用の電化製品があります。これらは1日の内に必ず1時間から数時間使用されるとします。
すると出力に必要な消費電力は単純に合計すると大きくなります。しかし、仮にもし全ての機器が最大でも3台同時にしか使わないとすると、必要な出力ワット数はその3台の合計のみで良いことになります。
つまり、蓄電池には、一度に使用して使える合計のワット数に制限があります。4kWh蓄電できる蓄電池だから一度に4000ワットを1時間利用できるわけではありません。
一度に、使えるのは1000ワットの可能性があります。
逆に言うと、消費電力の大きい電化製品を同時に使用することのないようにできないかを検討して、それが可能であれば上手な損をしない蓄電池の選択が可能になります。

・第五段階
蓄電池を使用して動作させる機器の仕様を確認する必要があります。
電力会社から送られてくる交流は電気正弦波という波形を描いています。
多くの機器は矩形波、疑似正弦波でも動作しますが、一部の機器、特に精密機器などの場合、電力会社から送られてくる正弦波でないと正常に動作しないことがあります。
これらの電気・電子機器をどうしても動作させたい場合は、正弦波の出力できる蓄電池が必要になります。
正弦波出力ができる蓄電池は高価ですが、コストを抑えるために正弦波出力に対応していない蓄電池を購入すると無駄な投資になります。
また、夜間など人が居ない時の停電に自動で対応する必要があるかの検討も重要です。
人がいない時に停電になっても自動で蓄電池の電気が使えるようになっている方が便利ですが、家庭ではそこまで必要がない場合もあります。
その場合、自動切替え機能は無駄な機能になります。