蓄電池と無停電装置(UPS)

蓄電池と無停電装置(UPS)

ユタカ電機製作所 小型UPS装置「UPS310HS」ユタカ電機製作所 小型UPS装置「UPS310HS」

蓄電池も無停電装置(UPS)も停電時など電気が使用できない状態の時に電気が使える装置です。
では、蓄電池の代わりに無停電装置(UPS)を蓄電池として利用できるでしょうか?
特に、家庭内で使用できる蓄電池を検討している場合、蓄電池の製品価格と無停電装置(UPS)の価格を比較すると無停電装置(UPS)が大幅に安価なので、できることなら無停電装置(UPS)を使いたい気持ちになることでしょう。
しかし、結論としては、無停電装置(UPS)を蓄電池として利用することは、利用目的が異なるので、代用はできません。

無停電装置(UPS)とは

無停電装置(UPS)は、停電が起こると問題が生じるような電子機器をあらかじめ無停電装置に接続したまま利用し、停電していない時は、通常のコンセントから供給されている電気を利用し、停電すると瞬時に無停電装置(UPS)に蓄えられている電気に切りかわる装置です。
パソコンなどの電子機器は、利用中に急に停電するとハードディスクに記憶させてないデータが消失してしまうほか、丁度、ハードディスクにデータを書き込んでいる時に停電するとハードディスクのデータが破壊される可能性もあります。
そのため、このような電子機器に対しては、停電時に瞬時に電気が供給されないと大きなトラブルが発生します。
そして、このような電子機器はパソコンだけでなく他にもたくさんあります。
また、一般的な停電では数十秒から数分、大規模な停電では数時間電気が利用できない時間が生じますが、実は、電力会社が供給している電気は、これ以外に送電設備や配電設備に落雷事故などが起きると1秒にも満たない最大でも0.2秒位の非常に短い時間の停電である「瞬断」や、瞬時電圧低下(瞬低)と呼ばれる現象が停電に比べると多数起きています。
「瞬時電圧低下(瞬低)」とは、完全に停電まではしないものの、例えば家庭用の電圧は100ボルトですが、この電圧が落雷の影響で100ボルト以下に低下するようなことが起こります。この「瞬断」や「瞬時電圧低下(瞬低)」が起きた場合パソコンなどのデジタル機器などに悪影響を与えるため回避する必要があります。
(注:瞬断を瞬時電圧低下に含めて同義に扱っている書物もあります。瞬断を瞬停とも言うので、瞬低と音が同じなために瞬断と瞬時電圧低下を区別する場合は注意が必要となります。)

瞬断や瞬時電圧低下が起きる対策

一般的な家庭用品では、100ボルトで動作することを前提に作られています。メーカーによっては、短い停電である瞬断や瞬時電圧低下が起きて80ボルト程度まで電圧が下がっても製品が正常に動作するように設計されています。
しかし、瞬断が少し長かったり、電圧が80ボルト以下に落ちたりする可能性もあります。また、全てのメーカーの製品が80ボルトまでは正常に動作するとは限らないので、問題が生じる電子機器がパソコンをはじめたくさんあります。
そのため、このような製品は無停電装置(UPS)を使用して、停電、瞬断、瞬時電圧低下に備える必要があります。
パソコン以外の製品では、例えばオートメーションの工場などでは、インバーターモーターによっていろいろな機器の速度が調整されて動いています。しかし、インバーターモーターの中には、0.01秒の瞬断、あるいは正常に動作する前提の100ボルトから15%の電圧低下で誤動作を起こしたり、最悪は停止したりする可能性があります。
停電は、日本の場合、電気事業連合会の資料によると一軒の家・事業所が1年間に経験する停電の回数は、0.17回と非常に少ないですが、瞬時電圧低下は9.1回と約50倍以上も多く発生しているというデータがあります。
瞬時電圧低下の原因の約7割は落雷が原因と言われており、そのため落雷の多い地域では、この回数より遥かに多い回数の瞬断や瞬時電圧低下が起きていることになります。

無停電装置(UPS)の利用時間

無停電装置(UPS)の利用時間

無停電装置(UPS)は、停電や瞬時電圧低下の時に利用しますが、その前提は、停電が起きた時に電子機器を正常に終了することが必要とされる時間だけ利用できるように作られています。
パソコンであれば、複数のパソコンで複数のアプリケーションを同時に使用し、データを作成している場合でも、その場に人がいれば数分もあればハードディスクにデータを保存してパソコンを正常終了できます。
また、24時間動いている装置の場合は、自動的にシャットダウンすることができます。
この正常終了できる時間だけ電子機器が利用できれば良いと考えて、利用されるのが無停電装置(UPS)です。
従って、無停電装置(UPS)に蓄電できる容量は小さく、電子機器を長い時間利用することはできません。
蓄電池に要求される時間は、長いので無停電装置(UPS)の容量では実用性に欠けることになります。