蓄電池導入のメリット・デメリット

蓄電池導入のメリット・デメリット

蓄電池のメリット

蓄電池を設置することで生じるメリットは、言うまでも無く停電という非常時に電気が利用できること、及び電気の利用料金は昼間高く、夜間安いことから安い深夜電力で蓄電して、それを昼間使用することで電気使用料を安くできることです。

・災害や落雷による停電時に電気が利用できる
地震、台風、雷などの自然災害やその他の人災などによる停電時に電気を自由に使うことができます。
病院では、手術時など電気によって動く機器が動かなくなると入院患者などの生命に危険が及びます。また、鉄鋼炉のように設備を一旦止めてしまうと、改めて動かすことが大変な設備を要する工場などは短時間の停電でも死活問題となります。
また、一般家庭においても多くの製品が電気で動いているため、停電が長時間に及ぶことで生活に支障がでて大変不便なこととなります。
その他、病気療養中の家族が居たり、病気でなくても免疫力や体力がない高齢者や乳幼児がいたりする場合、電気が利用できないと健康上、大きな問題になることがあります。
蓄電池を活用することでこれらの問題、不便さが解消できます。

電気料金を節約することができる

・電気料金を節約することができる
夜間の安い料金の深夜電力を蓄電池に蓄えて、昼間の時間帯に利用することで電気代を節約することができます。
深夜電力の料金約9円に対して、昼間は約3倍強の30円となっています。
ただし、この場合、蓄電池を設置するコストと料金の差額で蓄電池の寿命期間内に蓄電池の購入費用を回収できることが必要となります。
経済的なメリットだけでは、蓄電池の設置コストを回収することは難しいので、非常時に電気が利用できるメリットの両方で考える必要があります。

・太陽光発電装置との連携利用が便利
太陽光発電は、蓄電池がないと天気の良い昼間の時間帯しか十分な発電ができませんが、蓄電池を使えば昼間の時間帯に太陽光発電を使い切れなければ、蓄電して夜間に利用するなど電気料金の節約ができます。
また、太陽光発電による余剰電気は電力会社に高額(平成25年度で38円/1kWh)で売電できるため、昼間の余剰電力を売電することで大幅に電気料金を節約できます。
太陽光発電装置をもっとも有効に利用するには、夜間の深夜電力料金で蓄電した電力を昼間に使い、太陽光発電装置で発電した電力は全て売電することです。
但し、この利用方法は無条件に行えないので注意が必要です。
尚、売電できるのは太陽光発電だけではありません。風力発電、地熱発電、中小型の水力発電、バイオマス発電などの再生可能エネルギーで発電された電力全般が対象です。
これらを売電する場合は、それぞれについて売電価格が個別に決められており同じ価格ではありません。

・売電価格の今後の推移見通し:
電力会社に太陽光発電装置などで発電した電力を売電できる制度は、太陽光発電装置などを導入するための大きなモチベーションになりますが、この価格は政策的に決められています。
そもそも、売電できる制度は、2009年から48円で始まりましたが、2011年には、42円となり、2013年は38円へと下がってきています。
太陽光発電装置の設置コストが下がってきているので、ある意味では当然ですが、今後は更に下がっていくと見込まれています。
先行しているヨーロッパでは、太陽光発電の売電価格は、どんどん下がりドイツなどでは近々にも売電制度は廃止となると言われています。
尚、一旦、2013年に太陽光発電装置を導入し、38円で売電できる契約をすると、いろいろ個別に決められている期間、20年間又は10年間は仮に来年度売電価格が下がっても今年の価格で売電ができるようになっています。

蓄電池のデメリット

蓄電池のデメリットとしては、コストが高いこと、設置場所を取ること、安全性が気になることが上げられます。

・コストが高い
停電時に、電気が使えると言う利便性は非常に高いのですが、日本の電力事情は非常に良くて、停電はめったに起こりません。
東日本大震災が起こる前の2007年度のデータですが、1軒の家庭、事業所が1年間に経験する停電時間は(実感的にはもっと少ないように思われますが)16分というデータがあります。
そのため、蓄電池を設置するには、コストが低くて、そのコストを電気料金で早期に回収しないと、わざわざ設置するためのモチベーションが高まらないので、コストが非常に大きな要素となります。
今後、原子力発電所が稼働しないことによる計画停電の回数、時間が増加すると、コストよりも停電時の不便を解消する方が大きな問題となって、価格の重要性は低くなりますが、現時点ではコストが大きなデメリットとなります。

・設置場所が必要
家庭用において利用するには、屋外に置くにしても屋内で利用するにしても小さい方が良いのですが、家庭用蓄電池は、小さい機種でも小型冷蔵庫並みの大きさがあり、いざという時のための機器としては大きな部類になり、設置する場所の確保が問題になる可能性があります。

高い安全性が求められる

・高い安全性が求められる
現状、極めて危険というわけではありませんが、今後、大容量の蓄電池が家庭用に普及していくと、更なる安全性が求められます。
また、蓄電池製造業界としての製品に対する安全性の評価基準が、現時点で確立されていないなどの課題もあります。