太陽光発電装置には、蓄電池機能は、従来不要と考えられて蓄電池機能付きの太陽光発電装置は製品として少なかったのですが、東日本大震災以降は、非常用の電源として停電時にも利用したいというニーズが高まって蓄電池機能付きの太陽光発電装置の製品も多くなってきています。
また、既に太陽光発電装置が設置されている家庭や事業所においては、蓄電池を購入して既存の太陽光発電装置に簡単に接続して蓄電し、非常時に停電したら電気が利用できるのか気になることでしょう。
なぜ、太陽光発電装置に蓄電池が内蔵されなかったのでしょうか?
それは、発電した電気を蓄えて自家消費するより、電力会社に売電する方が利益が高いので、あえて蓄電する必要がなかったからです。
平成25年度以前は42円/1kWhで売電できるのに対して、電力会社から購入する電気料金は深夜であれば約9円で昼間でも30円程度です。
また、非常用の電源として考えても装置価格が高すぎること、非常時に不自由なく電気を利用できるほど蓄電できる容量がないことなどの理由から蓄電するニーズはありませんでした。
尚、太陽光発電装置に蓄電池が内蔵されると、昼間、電気をほとんど利用しないような場合は一度に大容量の発電をしなくても良いので、屋根一杯にソーラーパネルを広げないで少ないソーラーパネルで発電して非常時に備えるということが出来ます。
売電を大きな目的にしないで、非常時のみの対策と言うことであれば、このような小型の蓄電池付の太陽光発電装置が設置場所も少なくて済み、価格も安くなり合理的と考えられます。
経済的な観点から言えば、蓄電しないで売電を行った方が合理的ですが、震災などの災害で電気が長時間利用できなくなると経済的なことは言っていられない状況になります。
真冬や真夏では高齢者や乳幼児など体力、免疫力が低い者、あるいは病気療養中の人などは健康状態が悪化して危険が生じる可能性があります。
東日本大震災以降、家庭用の小型の蓄電池が多数販売されるようになってきています。
購入の選択にあたっては、蓄電池の容量と出力量上限を良く検討する必要があります。
家庭用の蓄電池は価格を抑えるために性能的には十分なものとはなっていません。
例えば、季節や家電製品の利用状況によって大きく変わりますが、一般的な家庭では1日に10から15kWh(1時間当たりでは約500W)と言われています。
一方、家庭用の蓄電池の容量は4kWh以下が主なため、1日分の電気を賄うことはできません。
仮に使用する電気製品の消費電力が合計で500Wであれば、容量が4kWhの蓄電池では8時間利用可能となります(4k/500=8)。
また、コンセント経由で利用することになるので天井に付けてある照明器具などは利用できません。
尚、蓄電池の容量が4kWhだからといって、無条件に2kWを2時間使えるというわけではありません。一度に取り出して使える電気(出力)の量が無制限ではありません。
機器によって600W、1kW、2kWなどの制限があり、この範囲内でないと一度に利用できません。
更に、一般的に電気製品は起動時に大きな電力を要するので取扱説明書に書かれている消費電力が範囲内であっても無条件に利用できません。
利用したい電気製品に対して余裕をもった蓄電池を選択しないと、例え一度に電源をONにしなくても1台の電気製品が起動時に大きな電気を必要とする場合、いざという時に利用できない可能性があります。