蓄電池の普及・推進のための課題

蓄電池の普及・推進のための課題

蓄電池の普及が見込まれている理由

蓄電池の普及が見込まれている理由

蓄電池は、小型になった電子機器をモバイル環境で利用するために、主に充電池の名称で携帯電話、パソコン、デジタルカメラなどの電源として需要が増大してきました。
今後は、地球環境保護やガソリン価格の高騰、石油資源の枯渇を受けてハイブリッド自動車や電気自動車の動力源や電源として、従来のガソリン自動車のバッテリー(蓄電池)に代わって大幅に需要が伸びていく可能性を秘めています。
また、2011年に起きた東日本大震災によって、原子力発電所の危険性が俄かにクローズアップされ、原子力発電所の稼働が安全性の点検のために止まることとなり、夏の電力最需要期に節電だけでは乗り切ることができず、計画停電の実施が行われることになりました。
このため、震災に備えた非常用の電源としてや、電力のピークシフト・ピークカットを実現することで計画停電が起こらないようにするため、蓄電池に熱い目が注がれています。
併せて、原子力発電所の停止による発電量不足を補うために太陽光や風力などの再生可能エネルギーをより積極的に活用することが国の政策として決められ、今後推進されていきます。
しかし、再生可能エネルギーは、発電量が天候などの自然環境に左右され不安定なため、発電した電気を蓄えて、発電が出来ない時に安定して利用できるようにするために蓄電池が必要となります。
また、再生可能エネルギーの電気を、従来の発電方法による電気と一緒にして利用するには、蓄電池の設置が技術的に必要となっています。
このような環境下、蓄電池の急速な普及が見込まれています。
しかし、普及を促進するためには、製品そのものの低価格化、高性能化、小型化、軽量化、安全性・信頼性の向上などの課題に加えて、その他の課題もあり蓄電池の普及にはそれらの課題の解決を図ることが必要になっています。

蓄電池普及のために解決すべき課題

蓄電池普及のために解決すべき課題

製品に関わる課題以外として、蓄電池は、あくまでも電気が利用できない時の代替装置であり、蓄電池を購入してもテレビを見る、自動車に乗るなどの利便性は増加しない製品です。
停電時に電気を利用できるメリットは大きな利便性の一つではありますが、停電が起きる確率は低く、また停電時間の長さによりますが、電気が使えなくても我慢できるという利用者は少なくありません。
またピークシフトやピークカット、あるいは環境保護、資源枯渇対策などに協力するために積極的に蓄電池を導入するほど高いモチベーションのある利用者もまた多くはありません。
そのため、普及を促進するには、現状の製品価格でも買いやすくなるように、補助金を出したり、設置した企業に税の優遇措置をおこなったりするなど、国や地方公共団体が効果的な政策を実施することが課題としてあります。

国の蓄電池戦略立案の課題

蓄電池は、電子機器の一層の小型化が促進されること、自動車の電気自動車へのシフトが進むこと、原子力発電の危険性による電力事情の悪化による非常用電源としてのニーズが増加すること、そしてスマートグリッド社会への移行など、今後、蓄電池は極めて大きな成長分野として期待されています。
そのため、日本の蓄電池製造業界が国際競争力を持てるように育成のための国の戦略プラン立案と整合性ある政策の実施が行われないと国際競争に後れを取ることになります。
国の蓄電池戦略が効果的に推進されると、蓄電池普及を後押しすることにもなります。
そこで、国の戦略立案と、政策遂行が大きな課題となります。

材料入手難となる可能性への対策・課題

蓄電池には、希少金属が使われており、これらの金属材料が、将来的に入手難になる危険性があります。
そのためレアメタルを使用しない蓄電池の開発の促進や、レアメタルの入手を輸入に頼らなくても良いように資源探査に注力することが課題となります。
尚、日本近海にレアメタルが大量に埋蔵されていることが、近年判明しており、コスト的に安い費用で採掘できることが期待されます。